冬は必ず春となる   営業課 楠本

年が明けた。

暮れゆく師走から明けゆく新年へ、この大きな節目は大きく気持ちを変える。時間的にはつい先日だったクリスマスも遠い過去のように思えてしまう。

1月に入ると楽しみなことがある、大したことではないのだが松の内が明ける頃から少しずつ日の出が早くなるのだ。夏至の頃から日一日と遅くなっていった日の出が早くなる。早朝の出勤はまだ星が瞬いているのでどうしても陽の光は恋しい。寒さはこれからが本番だか春に向かっている気持ちにさせてくれる。

話は変わるが2月は節分だ。

この節分を前に成人式を過ぎた翌日に、僕が住んでいる街には巨大な鬼が立つ。

どうだろうか僕が物心ついた頃から毎年この季節の風物詩として現れる巨大な鬼。小さな子どもにとってはかなり恐怖だ。この鬼を見ては泣き叫び、悪いことをすればあの鬼が来ると親に脅かされた経験者も多い。

僕はといえば小学生の頃、流行っていた銀玉鉄砲でこの巨大な鬼をよく撃ちに行った記憶がある。所詮作り物の鬼であり馬鹿にしてバンバン撃っていたのだ。

ところがある日の夜怖い目に合った。夜、当時住んでいたアパートの二階通路の窓を開けるとなんと目の前に件の巨大な鬼の顔が現れたのだ。驚いて後退りしたのは言うまでもない。その後どうしたのかは全く記憶がない。ただ驚いて目を覚ましたことだけは覚えている。

青い空に張り出している桜の木に目をやるとこの季節から少しずつ花芽が膨らんでいくことに気づく。

一月は往く二月は逃げる三月は去るであっという間に春がやってくる。

冬は必ず春となる。