カラスの親心     営業課 楠本

清少納言は枕草子に秋は夕暮れがいいと詩った。
夕暮れが茜色に西の空を染め、カラスが山に帰っていく。
忙しい日々を過ごしているとつい忘れてしまう日本の風景のひとつかもしれない。
夕暮れを見ると思い出すのが子を思う親心を詩った唱歌「七つの子」だ。
🎶カラスなぜ鳴くの         
      カラスは山に🎶

まだ夏前だった。
コロナ禍で少年野球の練習もまだ再開されておらず、体力づくりのために散歩に出た。
いつもの堤防から外れて河原を早足で歩いていたときのことだった。
耳元でカラスの羽が風を切る音がした。始めは何のことかさっぱり分からなかったのだが、何度も何度もカラスが僕に向かってスクランブル攻撃をしてくるのだ。
さすがに恐怖を感じた。
身の危険を感じたのでその場を早く立ち去ろうと足を早めたのだが、何とその先は行き止まりとなっていた。
さっき僕を追い越して行った自転車のおじいさんはどこに行ってしまったのだろうかと途方に暮れていたのだが引き返すしか手はない。
恐る恐る引き返すと再びカラスがスクランブル攻撃。

子育て中だったようです。

🎶かわいい
    七つの子があるからよ🎶

自然には立ち入ってはいけないところがあるのだと実感しました。

それにしても僕を追い越して行った自転車の老人はどこへ行ってしまったのか。
まさか昼間から幽霊でもあるまいし。